27 December, 2010

International Exposure - Israel Report 3

2010年12月10〜22日に滞在したテルアビブでのレポート記事その3です。

【イスラエル滞在2日目】
暴風の中、どうにか到着したスザンヌデラルセンターでInternational Exposure(インターナショナル・エクスポージャー)を見ることにする。

11 Sat Dec. 2010, 11:00am Dellal Hall
Fresco Dance Company 『Particle Accelerator』 Cho:Yoram Karmi



『OU'』 Cho:Rachel Erdos



まずはFresco Dance Company。奥の扉が開きスモークの中にダンサー9人が宇宙服みたいなグレーの衣装で登場。ちょっと古い近未来イメージ?走る動きがモチーフとなって展開される。ポーズからポーズへ。スピーディーな構成。パズルのようにマイムの組み合わせ。水色のビニール手袋をつけて水滴が飛び散るような動き。赤いガスマスクをつけて赤い照明の中で全員で上方へ飛ぶ鳥のような動き。モーツアルトのレクイエムが流れて「き〜〜り〜〜えーー」、とってもドラマチックなんだけど、これってパロディー?再び冒頭のシーン。下手に整列し舞台上手に直線上を歩く。ラストはカーテンコールとしてポップソングをバックに楽しくエンターテイメント。運動と機械がテーマだろうか?スピードとエネルギーが魅力だけど、どこかアカ抜けない。

短い休憩を挟んだ後に『OU'』。舞台奥に映像プロジェクション。森の映像。男女数人がコンタクトしながらあちこち動くんだけど、方向性が見えなくて飽きた。映像はしっかり作ってあったけど、舞台でやる必要があるんだろうかと疑問。メディアパフォーマンスってその道具だけで大変だから満足しがちだけど、アイディアがもうちょっと欲しい。動きが普通のインプロに見えて、それほど個性がないだけに主張が弱かった気がする。最後眠かった。

どうやら招待客たちには全体のプログラムが配られているらしい、ということに気がつく。どこでもらえるんですかって聞いたけど、一般客にはないらしい。ケチだなあ。(そんなわけで、全部の必要情報をもらっていないので、もし誤りなど見つけた方は教えてください。)

もとNDTのダンサーIdanが出るという次の公演を見ようとしたら、売り切れとの事。直前まで待てば入れるかと思いぶらぶらしていたら、チケットオフィスの人から僕が見られなかった事を聞いたらしく、声をかけてくれたおばちゃん。なんと、Idanのお父さんの友人たちが連れ立って来ていて、1人来られなくなったから見られるよと教えてくれた。おお、ありがたや。会場を移動して小劇場サイズの舞台。大須の七ツ寺っぽいブラックボックスステージに150席ぐらいかな。

11 Sat Dec. 2010, 13:00am Inbal Theater
ダンス・マラソン(新人振付家の特集)#1:
Odelia Kuperberg 『Cicushka』/ Idan Sharabi『Lo, So, Lo』

『Cicushka』はデュオの小品。女性ダンサーが数字をカウントアップする音響に合わせて、動きを繰り返していく。「1。1、2。1、2、3。1、2、3、4。。」といった具合。バットシェバのMaxを思い出した。ミニマルなグリッジのドラムにクラシックなソプラノが入った音楽。基本的にはバレエの姿勢を基本にしたポジションを多く使った振付。そこにナラティブな動きが挟まれて進んでいく。途中から男性ダンサー(Idan)が加わるが、二人のコンタクトや関係性(動きの)は希薄。後半、「Be creative」「repeat」と練習中のようなかけ声が彼女から男に飛ばされ、それに答える形で技巧的な動きを見せていく。踊りの語り口モードがいろいろと変わっていくのがポイント。四肢を美しく見せる動きが多かった。途中でセロハンが燃えたのか、フットライトから煙が出ていたのが気になってしまった。

『Lo, So, Lo』は振付家自身のソロ。プロセニアム上手側の前の床に風船をテープで止めるところから始まった。マリオブラザーズの音楽とクラシックがローテクでぶつっと繋ぎ合わされた音楽。空間とキャラクターを関連づけて、コミカルに演出。楽しかった。風船は後半でも使われ、作品のテーマを象徴する。舞台上で演じるという虚構性。性格や感情の表現を引きはがして、ステージと客席の縁に生々しく宙づりにさらけ出される。

11 Sat Dec. 2010, 14:00 Dellal Hall
Nir Ben Gal & Liat Dror『Terminal B』


この作品は舞台左側に吊るされた布を使ったサーカスアクロバットが何と言っても印象的。そして最後の紙飛行機を会場に向けて投げていくシーンなど、劇場の空中に注目した演出が特徴。舞台奥につくられた白い壁をつかったり、リフトをしたりと重力から離れていくようなふわふわとした質感が幸福なムードをつくった。冒頭の人間が作るセキュリティーチェックのゲートの模倣に何かメッセージ的なものが込められているのかもしれないが、この抜粋の上演からはそこまで解釈をするのはできなかった。

15:00から島崎麻美『Loop People』もあったのだが、Sold Outで見る事できず残念。チェロの生演奏との共演だったよう。

16:00- Studio A
Niv Sheinfeld & Oren Laor Dance Projects with 『Big Mouth』

Made and performed by Keren Levi, Oren Laor, Niv Sheinfeld

会場は小さなバレエレッスンに使われるスタジオ。背の小さい女Keren Leviと男二人Oren Laor, Niv Sheinfeld。和やかな雰囲気でダンサー自身の短いスピーチからおもむろに始まった地明かりでのパフォーマンス。会場入り口側に並べられた椅子に収まらず、僕は最前列で床に座って鑑賞。40人ぐらいはいたかもしれない。女性を先頭に3人組が隊列を崩さず、ひたすら歩く歩く。空間を縦横に切るように黙々と歩き、直角に曲がってまた歩く。ただそれだけの運動が持続していく。そこに時折訪れるターンや切り返しがアクセントをつくってまたエネルギーを貯めていく。後半、女は立ち止まって、ただ口を大きく大きく開ける。そしてその不条理に開け続けられる口を開く筋肉が、これまで空間をかき回して来た3人のエネルギーをぎゅっとその顔の痙攣に流し込むようにして、視線が集中する。トリシャ・ブラウンの『堆積accumulation』の見たそのミニマルな運動へのまなざしを、インテンシブな構造へと押し進めたいいパフォーマンスだった。このサイズの空間で見られた事も良かったように思う。

さて、安息日にも関わらず、怒濤のダンス鑑賞は後半戦に続く。

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