31 December, 2010

GAGAを初体験 - Israel Report 5

2010年12月10〜22日に滞在したテルアビブでのレポート記事その5です。
オハッド・ナハリンが開発したダンスメソッドGagaのクラスを受講しました。

【イスラエル滞在3日目: 12/12 Sun】

風で公園の木がなぎ倒されている。

今日は青空が見えている。
昨日は一日中風が強かったテルアビブ。遅くまでイスラエルダンスの公演を鑑賞して少々眠いものの、いよいよ今日からGAGA intensive winter courseが開始されるので、朝から張り切ってスザンヌ・デラル・センターへ出発。砂嵐は収まったようだけど途中看板や木が沢山倒れている。





スザンヌ・デラル・センター
なんだかすごい天気の時に来てしまったようだ。途中で日本人らしき後ろ姿を発見。「あ、あれ絶対ダンサー」と距離をつめてみたらやっぱり昨日会ったAyakoさんとMarikoさん。コースはバットシェバ舞踊団の拠点でセンターの一番奥の建物で開かれる。階段を登り会場に入って会計を済ますとGAGAのロゴ入りボトルとTシャツがもらえた。さらに上の階へ登ってStudio Suzyへ。いきなりスタートが30分遅れる事が告知され、のんびりぐだぐだストレッチ。さっき受付をした下のStudio Vardaに会場が変更になったらしく皆で大移動。日本から来たというYoheiくんと会ったり、周りの人と自己紹介するうちに時間は過ぎた。

今日からの基本スケジュールはこんな感じ。
10:00-11:30 Gaga dancers class
12:00-14:00 Repertoire of Ohad Naharin
14:00-15:00 Lunch Break
15:00-17:00 Gaga method

で、初ガガを体験。指導はバットシェバ舞踊団の芸術監督Ohad Naharin。全部英語で行われた。先生がスタジオの中心に立って、参加者は周りを囲むように全体に広がる。繊細な指を、手を、腕を空間に浮かべて。周りの情報を感じる。体のあちこちでカーブを描いたり、体の中をエネルギーの「タマ」が移動するイメージをつくったり。骨盤pelvisや背骨spineを揺らす。ぐねぐね体を波のように動かして、ストレッチを喜びにつなげる。自分の骨や肉を意識するための指示がいろいろな言葉で投げかけられる。別のタスクに移る時も、今の状態をキャンセルしないようにとFloat=自分を浮かべるような状態を指示される。ボリュームを下げるだけで、多層的な課題を積み重ねていく。それほど激しい動きではないのだが、体が暖かくなっていくのを感じる。重心を変えていく。片足に立つ。反対の足の付け根をいろいろな方向へ回す。外へ、内へ。体の中心へ意識が向かったガガ第一回目となった。

40人以上のダンサーがそれぞれの形を探して動く。BGMは流れているものの、あくまでも流動的にそれぞれのテンポで動く。リズムに合わせて踊ったり、ステップやポジションを覚えたり、高く足を上げたりといったバレエのようなトレーニングとは対極にあるもの。各自が同じ課題に取り組んでいても、その解はいろいろな形を持って体に表れて来る。このメソッドが一般の人たちにも開かれているのがここからも納得が行く。

午後はレパートリー。バットシェバの作品の一部をカンパニーのダンサーから教わる事ができる。この日のレパートリーはボレロの音楽を使ったシーン。性格の違う動きが矢継ぎ早に展開され、それに翻弄されるような振付。「ストーリを持つ」ことが動きを生き生きとさせる。ついていけるか心配していたレパートリークラスだったが、結構丁寧に指導してくれたおかげで、どうにか今日の部分はこなせるようになった。

Studio Varda
昼食は別の日本人ダンサーAiさんが沢山あるから手伝ってと分けてもらえてラッキー。泊まっているお宅のイスラエル人が多く作ってくれたらしい。今回日本人の参加者は4人。夏のインテンシブ・コースの時は15人ぐらいいたというからだいぶ少ない。もっとも全体の人数も150人近かったというから割合としてはあまりかわらないか。

夕方のメソッドは朝よりもっと細かいところへ注意を向ける感じで、骨盤の使い方をより意識しフロアに座ったところからどうやって寝転ぶか。足のエネルギーを注ぎ込んで起き上がる。他にも片足で立って頭を下にして、反対の足を持ち上げる姿勢で同じく骨盤と足の骨の付け根を意識したりと、結構解剖学的な指導だった。

ガンガンに踊るバットシェバの作品から、かなりハードな一日を覚悟していましたが、思っていたよりは楽なメニューで、どちらかというと頭も結構使うような内容でした。

夕食はcafe-cafeという劇場のレストランでYoheiくんとパスタ。講習会参加者なので10%割引してもらえました。店で食べていたらバケツをひっくり返したような大雨。








夜はインターナショナル・エクスポージャーの最終日。Billという公演を鑑賞。すんごい密度の濃い作品だ、ということまでは分かったのですが、初日で疲れていたのか中盤で眠ってしまいました。批評する資格なしなので動画だけ貼っておきます。こんな感じ。これはOhadじゃなくてSharonという人の振付作品です。

『Bill』 Cho:Sharon Eyal // Batsheva Dance Company


レポートまだ続きます。

28 December, 2010

Exposure鑑賞の後半 - Israel Report 4

2010年12月10〜22日に滞在したテルアビブでのレポート記事その4です。

【イスラエル滞在2日目】注意:まだ二日目ですからね。(苦笑)
Exposure鑑賞の続き。4時の舞台を見たあと、喫茶店のバーカウンターでたまたま振付家のSahar Azimiと隣り合わせて、話す時間があった。今夜彼の作品も上演されるというので9時に見に行くことにする。火曜日にエルサレムでダンスのクラスを教えているから来たらどうかとお誘いを受けた。そのあとテルアビブ在住のダンサー、曽根知さんと近くのレストランでお互いの活動についてやパーソナルな事など。作品をつくるだけじゃなくてプロデュースしたり自分のために環境を用意しようとしている彼女のパワフルな姿勢に今後の活躍を期待。

劇場すぐ横のカフェでGAGA JAPANの鞍掛綾子さんほか、日本人のグループに遭遇。ご飯に混ぜていただく。関係者向けのショーイングがあるというので、一緒に混ざって鑑賞。「ここはイスラエルだから大丈夫」なんだそうで。実際に見れてしまった。

20:30- Studio A
Alice Dor-Cohen『One』
http://www.alicedorcohen.co.il/works/one/

もとBatshevaのダンサーAlice Dor-Cohenの振付による作品。スタジオの左角奥に設置された建築現場の足場にクライミング用の板が側面に取り付けられている。その横に見台(スピーチで使うような)が置かれ白い粉が入った箱が載せられている。作曲者は誰か知らないが、マイケルナイマンみたいな曲。足場はスタジオの左隅から部屋の中程にある入り口の手前まであるが、左角が一番高くて、隣はちょっと低く並ぶ。その一番高いところから動き始めた男性ダンサー1は額を下につける祈りの儀式のようなゆっくりとした動きを繰り返す。別の男性ダンサー2は下の見台のところから粉を両手に付けて、こちらも儀式的な動きをフロアで行う。彼がステージ手前まで来ると3人目の男3が男2と同じルートで動きを繰り返す。彼ら3人がフロアとクライミングの足場を時計回りでぐるぐると回っていきながら徐々に情熱的な質感へと変わっていく。スッテプで見せるようなところはなく、あくまでもこの循環する場と高揚していく身体というのが基調となった作品。きっと照明が入ると作品の世界にもっと引き込まれるだろう。

●サハール・アジミ・ダンスカンパニー『UTF8』

UTF8 CLIP- Tel Aviv, Israel from SAHAR AZIMI DANCE COMPANY on Vimeo.


Cho:Sahar Azimi.入り口で配られたA4のハンドアウト。表にクレジットと短い説明。裏面に2009,2010年の批評がすべて英語で載っていた。裏を読む時間はなかったが、表の説明を先に読めたのは良かった。ステージ後方の壁に並べられた56個の照明の筒体。これらが各シーンの最初に点灯し、どのダンサーがどの位置で踊るのかというのをシンボルと空間コードをつかって示すシステムが組まれているらしい。毎公演ごとにこのLight Boardの決定が変わるため、いつも違ったパフォーマンスになる。ダンサー自身もシーンの順番やどこで踊るかを事前に知らない。全体で50分、8人のダンサーが10×10 m^2の何もないステージで踊り、照明に「コール」されなかったダンサーはステージをぐるりと囲むエリアのどこかでそのシーンを見守る。説明だけで長くなってしまったが、こうした構成法をとっているため作品全体は断片的で、記号的な印象を持つものの、同じゲームを楽しんでいるという感覚がダンサーと観客の間で共有され、その切断を受け入れる気になれ、ある種の持続する統一かんを得る。恐らく説明を読まなかったとしても途中でこのシステムには気がついていたと思う。動きの素材はOhad作品の持つ語法と重なるところが大きいように思え、かなり多様な動作やポーズが混ざって次々に繋ぎ合わされていく。踊り自体は筋肉が喜びそうなものなのにそれらが時間的にも空間的にも構成された枠に流し込まれた作品。スーラの点描画のような精緻な色彩構成を、ミニマルアートなハサミで冷たく切り取ったようなアプローチ。好き嫌い分かれそうだけど、僕は比較的楽しめた。たしかに「ダンサーの組み合わせは流動的でsubject(主題、対象)は変わる」のだが、かなり制度のほうが個性より強い印象があった。次回作にはウィルスとかバグの混入を検討していただけると、もっと生々しい世界観ができるのかも。いやはや力作でした。


11 Sat Dec. 2010, 22:30 Dellal Hall
Kamea Dance Company『SRUL』/ Tami Dance Company『FLASH』


もうひとつの団体サイトはこちら
http://nimrodfreed-tamidance.blogspot.com/

Cho: Tamir Ginz『SRUL』。今年から来ているという日本人ダンサー今在家祐子も出演。白い衣装に身を包んだ人たちが「最後の晩餐」みたく舞台幅いっぱいの長いテーブルに並ぶ。ビルビオラのスローモーションを舞台上で実際にやるとこんな感じか。それぞれのキャラクターが映画のように紡がれる。ただしそれは同時並行に進む群像劇。哀愁を感じさせる音楽のチョイス。舞台前面に落ちて来る砂のカーテン。叙情的でナラティブな動きは音楽と相まって感動を誘う。優雅で気品があって。抜粋しかみられないのが残念だったが、完成度の高いエンターテイメント作品だと思う。

Cho:Nimrod Freed『FLASH』はピアノの生演奏がステージの下手で。大きな布がピアニストによってほどかれると中から男女のダンサーが赤い椅子に座っているのが見える。口や体で出す音を使って踊りのシーンがあって、ピアノに載せてショーダンスがいろいろ。ピアノの音がスピーカーから強く聞こえるってのが残念だったけど、やっぱり生演奏があるっていうのはそれだけでもう身体表現になっているなあと改めて感じた。空間に存在しているだけで強い。ダンスの方はコンテンツがいろいろ集めてある感じで、作品のメッセージはイマイチ伝わってこなかった。。

***

以上、土曜日に僕が見たダンス公演の記録をまとめてみました。それぞれだいたい30-35NIS(シェケル)とかで見られた。だいたい800円ぐらい。会場には日本の評論家の方達などもいらっしゃっていた。乗越たかおさんの取材記事がDANZAに載るようなので日本在住の人はチェックされたし。

さて、この後はGAGA intensiveがいよいよ始まる3日目です。

27 December, 2010

International Exposure - Israel Report 3

2010年12月10〜22日に滞在したテルアビブでのレポート記事その3です。

【イスラエル滞在2日目】
暴風の中、どうにか到着したスザンヌデラルセンターでInternational Exposure(インターナショナル・エクスポージャー)を見ることにする。

11 Sat Dec. 2010, 11:00am Dellal Hall
Fresco Dance Company 『Particle Accelerator』 Cho:Yoram Karmi



『OU'』 Cho:Rachel Erdos



まずはFresco Dance Company。奥の扉が開きスモークの中にダンサー9人が宇宙服みたいなグレーの衣装で登場。ちょっと古い近未来イメージ?走る動きがモチーフとなって展開される。ポーズからポーズへ。スピーディーな構成。パズルのようにマイムの組み合わせ。水色のビニール手袋をつけて水滴が飛び散るような動き。赤いガスマスクをつけて赤い照明の中で全員で上方へ飛ぶ鳥のような動き。モーツアルトのレクイエムが流れて「き〜〜り〜〜えーー」、とってもドラマチックなんだけど、これってパロディー?再び冒頭のシーン。下手に整列し舞台上手に直線上を歩く。ラストはカーテンコールとしてポップソングをバックに楽しくエンターテイメント。運動と機械がテーマだろうか?スピードとエネルギーが魅力だけど、どこかアカ抜けない。

短い休憩を挟んだ後に『OU'』。舞台奥に映像プロジェクション。森の映像。男女数人がコンタクトしながらあちこち動くんだけど、方向性が見えなくて飽きた。映像はしっかり作ってあったけど、舞台でやる必要があるんだろうかと疑問。メディアパフォーマンスってその道具だけで大変だから満足しがちだけど、アイディアがもうちょっと欲しい。動きが普通のインプロに見えて、それほど個性がないだけに主張が弱かった気がする。最後眠かった。

どうやら招待客たちには全体のプログラムが配られているらしい、ということに気がつく。どこでもらえるんですかって聞いたけど、一般客にはないらしい。ケチだなあ。(そんなわけで、全部の必要情報をもらっていないので、もし誤りなど見つけた方は教えてください。)

もとNDTのダンサーIdanが出るという次の公演を見ようとしたら、売り切れとの事。直前まで待てば入れるかと思いぶらぶらしていたら、チケットオフィスの人から僕が見られなかった事を聞いたらしく、声をかけてくれたおばちゃん。なんと、Idanのお父さんの友人たちが連れ立って来ていて、1人来られなくなったから見られるよと教えてくれた。おお、ありがたや。会場を移動して小劇場サイズの舞台。大須の七ツ寺っぽいブラックボックスステージに150席ぐらいかな。

11 Sat Dec. 2010, 13:00am Inbal Theater
ダンス・マラソン(新人振付家の特集)#1:
Odelia Kuperberg 『Cicushka』/ Idan Sharabi『Lo, So, Lo』

『Cicushka』はデュオの小品。女性ダンサーが数字をカウントアップする音響に合わせて、動きを繰り返していく。「1。1、2。1、2、3。1、2、3、4。。」といった具合。バットシェバのMaxを思い出した。ミニマルなグリッジのドラムにクラシックなソプラノが入った音楽。基本的にはバレエの姿勢を基本にしたポジションを多く使った振付。そこにナラティブな動きが挟まれて進んでいく。途中から男性ダンサー(Idan)が加わるが、二人のコンタクトや関係性(動きの)は希薄。後半、「Be creative」「repeat」と練習中のようなかけ声が彼女から男に飛ばされ、それに答える形で技巧的な動きを見せていく。踊りの語り口モードがいろいろと変わっていくのがポイント。四肢を美しく見せる動きが多かった。途中でセロハンが燃えたのか、フットライトから煙が出ていたのが気になってしまった。

『Lo, So, Lo』は振付家自身のソロ。プロセニアム上手側の前の床に風船をテープで止めるところから始まった。マリオブラザーズの音楽とクラシックがローテクでぶつっと繋ぎ合わされた音楽。空間とキャラクターを関連づけて、コミカルに演出。楽しかった。風船は後半でも使われ、作品のテーマを象徴する。舞台上で演じるという虚構性。性格や感情の表現を引きはがして、ステージと客席の縁に生々しく宙づりにさらけ出される。

11 Sat Dec. 2010, 14:00 Dellal Hall
Nir Ben Gal & Liat Dror『Terminal B』


この作品は舞台左側に吊るされた布を使ったサーカスアクロバットが何と言っても印象的。そして最後の紙飛行機を会場に向けて投げていくシーンなど、劇場の空中に注目した演出が特徴。舞台奥につくられた白い壁をつかったり、リフトをしたりと重力から離れていくようなふわふわとした質感が幸福なムードをつくった。冒頭の人間が作るセキュリティーチェックのゲートの模倣に何かメッセージ的なものが込められているのかもしれないが、この抜粋の上演からはそこまで解釈をするのはできなかった。

15:00から島崎麻美『Loop People』もあったのだが、Sold Outで見る事できず残念。チェロの生演奏との共演だったよう。

16:00- Studio A
Niv Sheinfeld & Oren Laor Dance Projects with 『Big Mouth』

Made and performed by Keren Levi, Oren Laor, Niv Sheinfeld

会場は小さなバレエレッスンに使われるスタジオ。背の小さい女Keren Leviと男二人Oren Laor, Niv Sheinfeld。和やかな雰囲気でダンサー自身の短いスピーチからおもむろに始まった地明かりでのパフォーマンス。会場入り口側に並べられた椅子に収まらず、僕は最前列で床に座って鑑賞。40人ぐらいはいたかもしれない。女性を先頭に3人組が隊列を崩さず、ひたすら歩く歩く。空間を縦横に切るように黙々と歩き、直角に曲がってまた歩く。ただそれだけの運動が持続していく。そこに時折訪れるターンや切り返しがアクセントをつくってまたエネルギーを貯めていく。後半、女は立ち止まって、ただ口を大きく大きく開ける。そしてその不条理に開け続けられる口を開く筋肉が、これまで空間をかき回して来た3人のエネルギーをぎゅっとその顔の痙攣に流し込むようにして、視線が集中する。トリシャ・ブラウンの『堆積accumulation』の見たそのミニマルな運動へのまなざしを、インテンシブな構造へと押し進めたいいパフォーマンスだった。このサイズの空間で見られた事も良かったように思う。

さて、安息日にも関わらず、怒濤のダンス鑑賞は後半戦に続く。

26 December, 2010

砂嵐到来! - Israel Report 2

2010年12月10〜22日に滞在したテルアビブでのダンス講習会参加のレポート2です。
前回の記事、「イスラエル到着」はこちら


【イスラエル滞在1日目: 12/10 Fri】
荷物をホテルに置いて、歩いて2分ほどの海へ行ってみることにする。ヤシの木が道沿いに植わっていて、観光地の雰囲気たっぷり。雪が降るハーグから着いた自分には同じ12月とは思えない暖かさ。もう暗くてあんまりよく見えない。夕飯はケバブのお店でセットを注文。コインが慣れてなくてまだどれがどれか分からない。英語で注文するものの、店員もあんまり喋れないようだ。タクシーの運転手が食事におすすめと紹介してくれた噴水横の大きなビルへ入ってみる。ここの入り口でも荷物検査。人がいないこんな時間まで雇って、人件費がかかって大変だろう。レストランがいくつかあると聞いていたが、小さなショッピングモールみたいな場所のようだ。2件ほどだが空いていたのでコーヒーを頼んで、ちょっと休憩。無料の情報誌TimeOutでアート関連の観光情報をチェックして明日の予定をぼーっと考えた。

【イスラエル滞在2日目:12/11 Sat】
舞踊団から紹介のあったホステルHayarkon48に宿泊している。非常口の文字ももちろんヘブライ文字。読めねえ。土曜はシャバットShabbatでお店のほとんどがお休みになる日。参加するGAGA Intensive Winter Courseは日曜日からスタートなので、まだ一日ある。会場となるスザンヌ・デラル・センターのウェブサイトを見てみると今日は昼から公演がいくつか予定されているようだったので、下見もかねて見に行くことにした。

ホテルを出てみると砂で空が曇っている。強風。持って来たサングラスをゴーグル代わりに装着するものの、ちょっと目が痛い。聞いていた青空とフルーツジュースのテルアビブのイメージとあまりに違うんでないか、これ。





台風だね、これは。昨日到着の便にしておいてよかったよ。海も空も大荒れです。










GoogleMapで調べて印刷した地図を頼りに歩いて劇場へ向かう。主要な道にはアルファベットでの表記もあるが、通りの名前の多くはヘブライ文字で書かれている。ヘブライと英語併記のGoogleMapのおかげでかろうじて場所を確認しながら徒歩30分ほどで劇場に到着。ヘブライ文字は右から書くらしい。アルファベットとある程度対応した文字もあるようだけど、母音が省略されたりいろいろ奥は深そうだ。




途中、あまりにも人気がないので心配になったが、ここに着いてみたら結構人がいるから驚いた。さて、こちらが今週8-12日に開催中のダンスフェスティバルのポスター。International Exposureという名前で毎年開催され、世界各地からプロデューサーたちが有名な作品から小さいカンパニーの新しい作品までを探しに来る見本市になっている。

英語での紹介記事
http://blog.omanoot.com/international-exposure-dance-festival-2010

イスラエルのコンテンポラリーダンスは最近とても注目をされていて、バットシェバ舞踊団、インバルピント、キブツなどは世界中で公演を行っている。フェスティバルの多くの公演はここSuzanne Dellal Centreが会場だが、市内の他のいくつかの会場も含めて五日間で40近いダンス作品が紹介される。公演の内容は次のレポート3へ続く。

11 December, 2010

イスラエル到着! - Israel Report 1

シカゴのレポートをアップしないまま、なんとイスラエルにやって来てしまいました。今日、2010年12月10日から22日まで、ここテルアビブTel Avivに滞在して、バットシェバBatsheva Dance Companyのダンスワークショップに参加するためです。

【イスラエル滞在1日目】

Frankfurt行きがキャンセル
オランダのスキポール空港から朝7時発の便に乗るために、タクシーでハーグの中央駅へ出て、始発の4:55発の電車で空港に向かいました。眠い眠い。空港に着いてみるとタイムテーブルにcanceledの文字が!


ルフトハンザ航空のフランクフルト経由で来る予定だったのですが、飛行機がキャンセルになってしまったので(たぶんドイツの天候のせい)、代わりに手配されたSwissairに乗ってチューリッヒZürich経由でイスラエル入りとなりました。

ガリラさん
初のスイス入りってことで、ちょうど新調しようかと思っていた腕時計を空港で即決して購入。といってもSwatchですが。自分へのクリスマスプレゼント。(このイスラエル行きだけで十分だろ、と突っ込みが聞こえてきそうですが。ま、これは研究費ってことで。)

飛行機で隣になったイスラエル人のおばあさまガリラさんが機内モニターの使い方が分からず苦労していたので、助けてあげたのがきっかけになって、いろいろと話すことができました。こういう袖すり合うも他生の縁、みたいな出会いはいいものです。「Safedという町に住んでいるから遊びに来なさい」とまで言ってもらったのですが、あとで調べてみたらかなり北の方だし、さすがに行くのは無理そうだ。ご家族たちとスイスにツアー旅行に行った帰りだそう。元気でいいことです。

Ben Gurion International Airport
入国審査は厳しいと聞いていたので、覚悟していたんですが、飛行機を降りたところでさっそく呼び止められパスポート見せたり目的を聞かれた。ランダムに捕まえては尋問しているらしい。お姉さん、バットシェバのこと知っていたので話が早い。意外とすぐに終了。さすがは国民的カンパニー。
パスポートコントロールも並んでいる時間は長かったものの、質問自体は拍子抜けなぐらい簡単に終了しました。ただ、入国スタンプをパスポートに押さないでもらったら、バゲッジクレームの手前でまたお兄さんに捕まってしまいました。書類をいろいろ見せたんですが「GAGAってなんだ?」って、そりゃ僕もまだ詳しくは分かりませんがね、ダンステクニックです。「楽しんで」と無罪放免。

空港からは電車とバスを乗り継いでホテルまで行くつもりでしたが、なんと公共交通機関がすでに止まっていました。Shabbatという習慣があって、金曜の日没から土曜の日没まで働かない安息日というもの。日没前だから大丈夫だろうとふんでいたのですが。こちらは土曜日が休みで、日曜日から動き始めるという習慣らしいです。

タクシーからみたTel Avivの街並
結局ベン・グリオン国際空港からはタクシーで宿まで直行!運転手歴24年というベテランのエリさんとお喋りしながら20分ほど。147シェケル(3400円ぐらい)。5人もお子さんがいるんだって。子ども二人は軍隊で働いているらしい。ガリラさんも話してましたが、こちらは男女問わず兵役の義務があるそうです。荷物の整理をして、近所をぶらぶら散歩。タクシーから見てすでに思っていた事ですが、なんだか街の建物が老朽化している。一昔前に時間が戻ったような感じです。

これから明日の予定をホテルのスタッフに相談してみます。では初日の報告ここまで!

今日覚えたヘブライ語。
トダー Thank you!
シャローム こんにちは
ベヴァカシャ Please...

08 December, 2010

vanishing point - 雪が溶けたハーグより

阪神大震災を軸にした『その街のこども劇場版』というNHKが製作した映画が話題になっているようです。行きていると10年、15年は長いのですが、人間の歴史とかを考えると、ほんの一瞬の事ですね。

今年のターナー賞はスーザン・フィリップスという人になったようです。
紹介記事はこちら。
自分の声を歌としてその場所に残す。万葉集の頃から、ずっと変わらない人間の表現のありかたと言えるかもしれません。

明日はアムステルダム大学の演劇科の授業で行われる学生のプレゼンテーションに参加、出演する予定。
先月末ダンスのワークショップで知り合ったエストニア人のJüri Naelが誘ってくれて、Visible/Invisibleという問いかけをテーマに短いパフォーマンスをする予定。役者、ダンサー、演出家、そして僕(メロディカ)の4人がアクトします。昼から四時間ほどのワークをして、15分ほどにまとめます。どうなる事やら。テキストや音など要素/コンテンツと、それを運ぶ表現者の身体。どちらが見えて来るだろうか、バランスを変えられるか、そんなことがテーマになります。

今週金曜日10日から22日までイスラエルのTel Avivでダンスワークショップに参加してきます。新しい身体の使い方の発見と、人や街と出会える事に胸を躍らせています。