12 March, 2011

震災/即興: earthquake _ Workshop final day

11日(金)に起きた東日本の大震災。ネットを経由して届くあまりの被害の大きさに、オランダからは何もできない歯痒さに、胸が痛む。

金曜の朝起きて知ったニュースに、家族へskype経由で電話を試みるが、このときは携帯も家の電話も繋がらなかった。ツイッターやFacebookで日本の知人たちの様子を見て安心する一方、そうしてネットにアクセスできない状況の人たちこそが大変な状況にあることを想像すると気は休まらない。帰宅した19時頃(日本はすでに12日夜中)漸く日本からメールで返信が届いていて、愛知にいる僕の家族と神奈川の妻の家族の安全が確認できた。いろいろな国の友人から「家族は大丈夫か」と気遣うメッセージをもらい、とても嬉しかった。

次々と起きる各地での地震の報道に、ツイッターでRTをしてみたりするぐらいしかしようがない。原発も心配。これ以上被害が広がらないことを祈るばかりだ。

今日は2週間続いたダンス音楽のインプロビゼーションワークショップの最終日だった。昼までネットで災害情報の収集をしたり、何度も家族へ電話をかけようとしたり、メールを送った。スタジオへ行ってみると皆から「家族は大丈夫か?」と言葉をかけられる。講師のマイケル・シューマッハはちょうど月曜日から日本へ発つ予定。どうなることか。

これまでバレエ科のスタジオを使って行って来た即興セッションを、パブリックスペースで行うというのが最終日のミッション。1時頃から2時頃まで約一時間に渡って学校のホワイエでパフォーマンスを行った。いわゆるflash mobと呼ばれるもの。ただし、何の打ち合わせも決まった振付もシーン構成もなく、完全に全員で即興。丁度Kees van Baarenzaalではビッグバンドのコンサートが行われていたり、学校に練習に来た生徒たちなども周りに座ったり立ち話をしていた。

終わってからの反省会では特に音楽家たちからパブリックスペースの難しさについてコメントが出ていたが、会場全体に届くようにする(あるいは起きている事を把握する)のはそもそも無理があることが指摘され、それでも小さな範囲でそれぞれが独自の瞬間をつくったり、また各グループが影響し合って行くことの大切さが改めて確認された。ダンサーたちは今回のワークショップで初めてインプロをやるひとも多かったわけで、劇場でなくパブリックスペースで踊るだけでも大変な事を考えれば、大きなチャレンジができたと思う。面白くなりそうなアイディアやシーンが沢山あったと思う。もっとそれを展開発展させる事ができたらよかった。

このセッションを今後も定期的に継続して行こうと、参加者たちで話している。僕は自分のオペラに出演してもらう歌手が見つかったり、バレエ科の先生とも繋がりができたりと、収穫も大きかった。隣り合った建物の中とはいえ、これまでほとんど接点がなかった音楽科とバレエ科がこれを機会に今後も学び合い、互いの事を知り合うことができるといい。

毎日最初の集まりでマイケルは僕たちに聞いた。「今日起きてから何か即興した?」日常の中に、溢れている情報を、どれだけ敏感になって読み取って、自分の表現へ変えて行けるか。いつもと違う道を通ったら、犬の散歩している人とすれ違った。ご飯が余っていたからチャーハンを作ってみた。家を出る時に「よし」とつぶやいてからドアを開けた。そんな日常の中の即興。

僕たちがこの数日フォーカスした「繊細な知覚sensitive perception」
誰かが背中に手を当てて来た温かさ。スタジオの外から聞こえてくる工事の音。ふと嗅いだ匂いが連れてくるずっと昔の記憶。部屋の端と端で同じタイミングで立ち上がったり止まったりする偶然。そんな小さな変化を感度のヴォリュームをあげて受信する。それはアートの中だけではない。こうして僕たちが生きている環境にどうやって反応して行くかということ。。

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